保育士が活躍できる職場は、保育園だけではありません。日本には、保育園も含めた様々な「児童福祉施設」があります。2023年8月現在、児童福祉施設はその役割によって12種類に分類されていますが、種類が多く名前も似ているため、保育士を目指す方でも混乱しやすいかもしれません。
この記事では、12種類の児童福祉施設について「どんな施設があり、それぞれどんな役割を果たしているか」を分かりやすく解説します。
児童福祉施設とは、児童福祉に関する事業を行う施設のこと。分かりやすく言うと、「子どものための保育、保護、養護などを行う施設」のことです。
具体的には、子どもたちが安心して生活し、健やかに成長するための場所や施設を指します。とくに、親や家庭の状況が子どもたちの健全な成長に影響を及ぼす可能性がある場合に、そのサポートや保護を行うために設けられている施設が多いです。
児童福祉施設の定義は、「児童福祉法」第7条第1項で規定されています。また、児童福祉施設は児童福祉法をはじめとする法令に基づいて事業を行います。
児童福祉法によると、児童福祉施設は次の12種類に分類されています。
助産施設は、経済的理由などで入院助産ができない妊産婦のために、入所をともなう出産支援を行う施設です。主に産婦人科を有する病院や助産院等が助産施設の指定を受け、その役割を担っています。
乳児院は、主に1歳未満の乳児、必要に応じて小学校入学前までの幼児を養育するための施設です。保護者の事情で家族とともにいられない子どもを養育する役割を担っています。虐待やネグレクトなどの理由で家庭での生活が難しい場合や、子ども自身が発達に問題を抱えている場合も含まれます。
母子生活支援施設は、配偶者のいない女性とその子どもを保護し、自立促進のための生活支援をはじめとする様々な援助を行うための施設です。以前は「母子寮」と呼ばれていましたが、1998年に母子生活支援施設に改称されました。
保育所は、保護者からの依頼により乳児から小学校入学前までの幼児を保育する施設で、厚生労働省が管轄しています。共働きの保護者が子育てと仕事を両立するための支援が中心となりますが、就労以外にも出産・疾病・介護など、保護者の様々な事情に対応しています。
文部科学省管轄となる幼稚園は、保育を目的とする保育所(保育園)とは異なり、学校教育の基礎をつくる幼児期の教育が主な目的となります。保育園と幼稚園は法律により区別されていますが、2006年に成立した認定こども園法により、両者のメリットを取り入れた「幼保連携型認定こども園」が誕生しました。
幼保連携型認定こども園は、教育と保育を一体的に行う施設です。幼稚園と保育所の良さを結びつけた機関であり、保護者の働く状況に関わらず、就学前の子どもたちの教育と保育を提供します。
児童厚生施設は、児童に健全な遊びを提供するための施設(場所)です。児童の健康増進と情緒の発達を目的としており、屋外型の「児童遊園」と、屋内型の「児童館」の2つのタイプが存在します。
児童養護施設は、保護者のいない児童や虐待を受けている児童、その他養護が必要な児童を受け入れ、養護や自立支援を行う施設です。様々な事情を抱える子どもたちの健やかな成長と発達をサポートします。
障害児入所施設は、障がいを持つ児童を入所の形で受け入れ、支援を行うための施設です。支援内容によって、福祉型と医療型の2つに分かれます。なお、かつての「知的障害児施設」「盲ろうあ児施設」「肢体不自由児施設」「重症心身障害児施設」は、2012年の児童福祉法改正により「障害児入所施設」に統合されました。
児童発達支援センターは、障がいを持つ児童を(入所ではなく)通所により支援する施設です。福祉型と医療型の2つのタイプがあり、子どもたちの成長と発達をサポートします。
児童心理治療施設は、心理的な困難や苦しみを抱える児童を対象に、短期間入所もしくは通所により支援を行う施設です。2017年より「情緒障害児短期治療施設」から名称が変更されました。様々な心理療法や生活指導を通じて、子どもたちの社会適応性を高めるサポートを行います。
児童自立支援施設は、犯罪や不良行為を行った児童(あるいはその恐れがある児童)や、家庭環境等の理由により生活指導が必要な児童を受け入れ、自立を支援するための施設です。学校に代わる学科指導や職業指導も行い、日常生活を支えながら将来の自立をサポートします。
児童家庭支援センターは、地域の児童や母子に関する福祉問題について、相談を受けたり助言や指導を行ったりする専門機関です。児童相談所や他の児童福祉施設と連携し、地域住民の協力のもと、子どもたちの幸福な成長を支えます。
これらの児童福祉施設は、いずれも保育士資格を活かすことが可能です。施設の多くは、法律によって保育士資格を持つ人の設置が必須となっており、その他の施設でも有資格者は特定の役割を果たせます。
保育士資格を持つ人が児童福祉施設で働く際には、施設ごとの役割やニーズに応じて、専門知識や経験を活用することが大切です。就職や転職について考えている人は、自分にとってやりがいのある職場はどんな所なのかを考え、将来の道を選び取っていきましょう。
※この記事の情報は2023年8月現在のものです。
保育士が活躍できる職場は、保育園だけではありません。日本には、保育園も含めた様々な「児童福祉施設」があります。2023年8月現在、児童福祉施設はその役割によって12種類に分類されていますが、種類が多く名前も似ているため、保育士を目指す方でも混乱しやすいかもしれません。
この記事では、12種類の児童福祉施設について「どんな施設があり、それぞれどんな役割を果たしているか」を分かりやすく解説します。
児童福祉施設とは、児童福祉に関する事業を行う施設のこと。分かりやすく言うと、「子どものための保育、保護、養護などを行う施設」のことです。
具体的には、子どもたちが安心して生活し、健やかに成長するための場所や施設を指します。とくに、親や家庭の状況が子どもたちの健全な成長に影響を及ぼす可能性がある場合に、そのサポートや保護を行うために設けられている施設が多いです。
児童福祉施設の定義は、「児童福祉法」第7条第1項で規定されています。また、児童福祉施設は児童福祉法をはじめとする法令に基づいて事業を行います。
児童福祉法によると、児童福祉施設は次の12種類に分類されています。
助産施設は、経済的理由などで入院助産ができない妊産婦のために、入所をともなう出産支援を行う施設です。主に産婦人科を有する病院や助産院等が助産施設の指定を受け、その役割を担っています。
乳児院は、主に1歳未満の乳児、必要に応じて小学校入学前までの幼児を養育するための施設です。保護者の事情で家族とともにいられない子どもを養育する役割を担っています。虐待やネグレクトなどの理由で家庭での生活が難しい場合や、子ども自身が発達に問題を抱えている場合も含まれます。
母子生活支援施設は、配偶者のいない女性とその子どもを保護し、自立促進のための生活支援をはじめとする様々な援助を行うための施設です。以前は「母子寮」と呼ばれていましたが、1998年に母子生活支援施設に改称されました。
保育所は、保護者からの依頼により乳児から小学校入学前までの幼児を保育する施設で、厚生労働省が管轄しています。共働きの保護者が子育てと仕事を両立するための支援が中心となりますが、就労以外にも出産・疾病・介護など、保護者の様々な事情に対応しています。
文部科学省管轄となる幼稚園は、保育を目的とする保育所(保育園)とは異なり、学校教育の基礎をつくる幼児期の教育が主な目的となります。保育園と幼稚園は法律により区別されていますが、2006年に成立した認定こども園法により、両者のメリットを取り入れた「幼保連携型認定こども園」が誕生しました。
幼保連携型認定こども園は、教育と保育を一体的に行う施設です。幼稚園と保育所の良さを結びつけた機関であり、保護者の働く状況に関わらず、就学前の子どもたちの教育と保育を提供します。
児童厚生施設は、児童に健全な遊びを提供するための施設(場所)です。児童の健康増進と情緒の発達を目的としており、屋外型の「児童遊園」と、屋内型の「児童館」の2つのタイプが存在します。
児童養護施設は、保護者のいない児童や虐待を受けている児童、その他養護が必要な児童を受け入れ、養護や自立支援を行う施設です。様々な事情を抱える子どもたちの健やかな成長と発達をサポートします。
障害児入所施設は、障がいを持つ児童を入所の形で受け入れ、支援を行うための施設です。支援内容によって、福祉型と医療型の2つに分かれます。なお、かつての「知的障害児施設」「盲ろうあ児施設」「肢体不自由児施設」「重症心身障害児施設」は、2012年の児童福祉法改正により「障害児入所施設」に統合されました。
児童発達支援センターは、障がいを持つ児童を(入所ではなく)通所により支援する施設です。福祉型と医療型の2つのタイプがあり、子どもたちの成長と発達をサポートします。
児童心理治療施設は、心理的な困難や苦しみを抱える児童を対象に、短期間入所もしくは通所により支援を行う施設です。2017年より「情緒障害児短期治療施設」から名称が変更されました。様々な心理療法や生活指導を通じて、子どもたちの社会適応性を高めるサポートを行います。
児童自立支援施設は、犯罪や不良行為を行った児童(あるいはその恐れがある児童)や、家庭環境等の理由により生活指導が必要な児童を受け入れ、自立を支援するための施設です。学校に代わる学科指導や職業指導も行い、日常生活を支えながら将来の自立をサポートします。
児童家庭支援センターは、地域の児童や母子に関する福祉問題について、相談を受けたり助言や指導を行ったりする専門機関です。児童相談所や他の児童福祉施設と連携し、地域住民の協力のもと、子どもたちの幸福な成長を支えます。
これらの児童福祉施設は、いずれも保育士資格を活かすことが可能です。施設の多くは、法律によって保育士資格を持つ人の設置が必須となっており、その他の施設でも有資格者は特定の役割を果たせます。
保育士資格を持つ人が児童福祉施設で働く際には、施設ごとの役割やニーズに応じて、専門知識や経験を活用することが大切です。就職や転職について考えている人は、自分にとってやりがいのある職場はどんな所なのかを考え、将来の道を選び取っていきましょう。
※この記事の情報は2023年8月現在のものです。