子どもの成長過程において、避けて通れないものの1つが「イヤイヤ期」。周囲の大人が思わずたじろいでしまうことも多いのですが、じつは子どもの心が健康にすくすく育っている証拠であり、成長において非常に大切な時期です。今回はこの「イヤイヤ期」について、具体的にどんな時期なのか、また、保育士はどんなポイントを押さえて接すると良いのかを解説します。
イヤイヤ期とは、子どもの自我や自己認識が育つ過程で生じる行動パターンです。この時期の子どもは何に対しても「イヤ!」と言って抵抗しますが、その理由を本人もうまく説明できず、周囲の大人は困惑してしまうかもしれません。
そんなイヤイヤ期ですが、じつは子どもの自我が芽生え、自己主張を始める大切な時期です。この時期に大人が適切な対応をすることで、子どもは自分の意見を持ち、人にもしっかりと伝えられるようになります。イヤイヤ期の子どもたちにどう接するかは、保育士としての腕の見せ所と言えるでしょう。
イヤイヤ期の現れ方には個人差があり、何に対しても「イヤ、イヤ!」と激しく抵抗する子どももいれば、イヤイヤ期の特徴がほとんど見られない子どももいます。また、イヤイヤ期を迎える時期は子どもによってまちまちですが、一般的には1歳〜2歳ごろにかけて多く見られます。
イヤイヤ期の子どもには、次のような行動パターンが見られます。
こうした行動は、子どもに自我が芽生え始めた段階で現れる、いわば「成長の証」です。
小さな子どもの脳は、急激な発達の真っ最中。さまざまな感情が芽生えるにつれて、「自分で決めたい」「自分の意志を通したい」という欲求がだんだんと強くなっていきます。しかし、本人はまだそれを上手に実現できなかったり、言葉で表現できなかったりします。
この「もどかしさ」や「自分への苛立ち」により、大人を困らせる行動をしてしまうのが、イヤイヤ期の正体です。子どもはまだ感情のコントロールがうまくできず、また、それらの感情を言葉にして伝えることもできない場合があります。
さらに、できることが増えてきた段階の子どもにも、イヤイヤ期が訪れることがあります。その理由は、「もっと大人に甘えていたい」という思いによるものです。
「甘えたい」という思いからイヤイヤ期を迎える子どもの行動としては、次のようなものがあります。
大人を困らせて気を引こうとしたり、できることを「できない」と言って甘えたりする行為は、子どもの中にある寂しさや不安を解消するために現れます。こうした言葉にできない思いを、大人がきちんと受け止めることで、子どもの安心感や健全な自己肯定感を育てることに繋がるのです。
イヤイヤ期の子どもと接する際、保育士や保護者はどのような考え方を意識すると良いのでしょうか? 以下に3つのポイントを紹介します。
まずは、子どもの「イヤ」という気持ちをまっすぐ受け入れることが大切です。子どもに「イヤ」と言われたら、大人としては原因が分からずイライラしてしまうこともあるかもしれません。しかし子どもの反抗の背景には、子ども自身にも説明できない何かしらの感情が必ずあります。
その感情をまずは「そうだね」「イヤなんだよね」とそのまま受け入れ、理解しようとする姿勢を見せることで、子どもは「自分の気持ちを認めてもらえた」と安心することができます。
とは言え、全ての場面で子どもの感情に合わせて行動するというのは、現実的に難しい場合もあります。そんなときは、頭ごなしに「言うことを聞きなさい」と叱るのではなく、ポジティブな言葉や態度で、子どもを次の行動へと促すことが大切です。
たとえば、「◯◯しなきゃダメ」とネガティブに言う代わりに「一緒にやってみようか?」と提案する。「これはやりたくない」と言う子どもに、「じゃあ、あっちの遊びはどうかな?」と別の提案をする。こんなふうにポジティブに伝えると、子どもも不満を抱えている物事から気がそれて、意外とすんなり次の行動へ移れることがあります。
また、子どもが一人でできないことをやりたがって癇癪を起こしてしまうときには、「先生が少しだけお手伝いしてもいい?」と声かけをしてみましょう。実際には大半の部分を大人が行うとしても、「少しだけ」という言葉を使って「あくまでもサポート」という姿勢を見せることで、子ども自身も納得して大人に任せることができ、「自分でできた」という達成感も得られます。
「ダメ」という拒絶の言葉は、子どもの不満を掻き立てます。なぜダメなのかが分からないので、「イヤ」という感情がよけいに膨らんでしまうかもしれません。「ダメ」という言葉は、子どもの身体や生命に関わる危険な行為のみに限定し、その際もしっかりとダメな理由を説明しましょう。
また、「ちゃんとやらないとお化けが来るよ」と言った脅しの言葉や、「◯◯できたらお菓子をあげる」といった交換条件の提示も、基本的にNGです。恐怖による行動の制限は、かえって不満を招くことが多いですし、交換条件は「何かがもらえないなら、やらない」という、ある意味ネガティブな学習に繋がります。
子どもたちと直接向き合う保育士には、イヤイヤ期の先を見据えて、健全な自尊心や自立心をも育む意識が不可欠です。子どもが自分でできることと、少し手助けが必要なことを見極め、子どもたちの成長を支えていきましょう。
子どもの成長過程において、避けて通れないものの1つが「イヤイヤ期」。周囲の大人が思わずたじろいでしまうことも多いのですが、じつは子どもの心が健康にすくすく育っている証拠であり、成長において非常に大切な時期です。今回はこの「イヤイヤ期」について、具体的にどんな時期なのか、また、保育士はどんなポイントを押さえて接すると良いのかを解説します。
イヤイヤ期とは、子どもの自我や自己認識が育つ過程で生じる行動パターンです。この時期の子どもは何に対しても「イヤ!」と言って抵抗しますが、その理由を本人もうまく説明できず、周囲の大人は困惑してしまうかもしれません。
そんなイヤイヤ期ですが、じつは子どもの自我が芽生え、自己主張を始める大切な時期です。この時期に大人が適切な対応をすることで、子どもは自分の意見を持ち、人にもしっかりと伝えられるようになります。イヤイヤ期の子どもたちにどう接するかは、保育士としての腕の見せ所と言えるでしょう。
イヤイヤ期の現れ方には個人差があり、何に対しても「イヤ、イヤ!」と激しく抵抗する子どももいれば、イヤイヤ期の特徴がほとんど見られない子どももいます。また、イヤイヤ期を迎える時期は子どもによってまちまちですが、一般的には1歳〜2歳ごろにかけて多く見られます。
イヤイヤ期の子どもには、次のような行動パターンが見られます。
こうした行動は、子どもに自我が芽生え始めた段階で現れる、いわば「成長の証」です。
小さな子どもの脳は、急激な発達の真っ最中。さまざまな感情が芽生えるにつれて、「自分で決めたい」「自分の意志を通したい」という欲求がだんだんと強くなっていきます。しかし、本人はまだそれを上手に実現できなかったり、言葉で表現できなかったりします。
この「もどかしさ」や「自分への苛立ち」により、大人を困らせる行動をしてしまうのが、イヤイヤ期の正体です。子どもはまだ感情のコントロールがうまくできず、また、それらの感情を言葉にして伝えることもできない場合があります。
さらに、できることが増えてきた段階の子どもにも、イヤイヤ期が訪れることがあります。その理由は、「もっと大人に甘えていたい」という思いによるものです。
「甘えたい」という思いからイヤイヤ期を迎える子どもの行動としては、次のようなものがあります。
大人を困らせて気を引こうとしたり、できることを「できない」と言って甘えたりする行為は、子どもの中にある寂しさや不安を解消するために現れます。こうした言葉にできない思いを、大人がきちんと受け止めることで、子どもの安心感や健全な自己肯定感を育てることに繋がるのです。
イヤイヤ期の子どもと接する際、保育士や保護者はどのような考え方を意識すると良いのでしょうか? 以下に3つのポイントを紹介します。
まずは、子どもの「イヤ」という気持ちをまっすぐ受け入れることが大切です。子どもに「イヤ」と言われたら、大人としては原因が分からずイライラしてしまうこともあるかもしれません。しかし子どもの反抗の背景には、子ども自身にも説明できない何かしらの感情が必ずあります。
その感情をまずは「そうだね」「イヤなんだよね」とそのまま受け入れ、理解しようとする姿勢を見せることで、子どもは「自分の気持ちを認めてもらえた」と安心することができます。
とは言え、全ての場面で子どもの感情に合わせて行動するというのは、現実的に難しい場合もあります。そんなときは、頭ごなしに「言うことを聞きなさい」と叱るのではなく、ポジティブな言葉や態度で、子どもを次の行動へと促すことが大切です。
たとえば、「◯◯しなきゃダメ」とネガティブに言う代わりに「一緒にやってみようか?」と提案する。「これはやりたくない」と言う子どもに、「じゃあ、あっちの遊びはどうかな?」と別の提案をする。こんなふうにポジティブに伝えると、子どもも不満を抱えている物事から気がそれて、意外とすんなり次の行動へ移れることがあります。
また、子どもが一人でできないことをやりたがって癇癪を起こしてしまうときには、「先生が少しだけお手伝いしてもいい?」と声かけをしてみましょう。実際には大半の部分を大人が行うとしても、「少しだけ」という言葉を使って「あくまでもサポート」という姿勢を見せることで、子ども自身も納得して大人に任せることができ、「自分でできた」という達成感も得られます。
「ダメ」という拒絶の言葉は、子どもの不満を掻き立てます。なぜダメなのかが分からないので、「イヤ」という感情がよけいに膨らんでしまうかもしれません。「ダメ」という言葉は、子どもの身体や生命に関わる危険な行為のみに限定し、その際もしっかりとダメな理由を説明しましょう。
また、「ちゃんとやらないとお化けが来るよ」と言った脅しの言葉や、「◯◯できたらお菓子をあげる」といった交換条件の提示も、基本的にNGです。恐怖による行動の制限は、かえって不満を招くことが多いですし、交換条件は「何かがもらえないなら、やらない」という、ある意味ネガティブな学習に繋がります。
子どもたちと直接向き合う保育士には、イヤイヤ期の先を見据えて、健全な自尊心や自立心をも育む意識が不可欠です。子どもが自分でできることと、少し手助けが必要なことを見極め、子どもたちの成長を支えていきましょう。