東京YMCA 社会体育・保育専門学校

家庭的保育事業（通称「保育ママ制度」）は、保育士の居宅やマンションを利用して行われる保育サービスです。家庭に近い温かみのある環境の中で、子ども一人ひとりに対して丁寧なケアができることが特徴とされています。

今回は、この家庭的保育事業（保育ママ制度）の内容や特徴、間違われやすい他の保育サービスとの違いについてご紹介します。

家庭的保育事業（保育ママ制度）とは？

家庭的保育事業（以下「保育ママ制度」）は、保育士の居宅やマンションの一室で行う保育サービスのことです。基本的には3歳未満の乳幼児を対象としていて、保育士1〜2人に対し3〜5人の少人数で保育を行います。

保育ママ制度は、平成27年に施行された子ども・子育て支援新制度で定められている「地域型保育事業」に含まれます。制度の主な目的は、待機児童（とくにボリュームゾーンである0〜2歳児の待機児童）を減らすことです。保育ママ事業を行う施設は認可保育所として認められ、一定の条件を満たすことで補助金が支給されます。

保育ママとして保育をするには、保育士資格に加え、自治体からの認可が必要となります。認可の基準は自治体によって異なりますが、保育士自身による講習の受講や、保育場所における必要な設備の準備（トイレや手洗い場、防災器具の設置など）といった条件を満たことが求められます。

家庭的保育事業（保育ママ制度）の特徴

保育ママ制度の最大の特徴は、少人数制で行われる点でしょう。一般的なクラス制の保育園とは異なり、保育士1〜2人に対し3〜5人の子どものみを預かるため、子ども一人ひとりの個性や成長に合わせた細やかなケアや見守りが可能です。

また、保育士さんの自宅などで保育が行われるため、子どもたちにとっては「誰かのお家に遊びに行ったとき」のような感覚で、家庭的な雰囲気の中で安心して過ごしやすくなります。さらに、保育ママとして働くには保育士資格が必要であるため、保護者にとっても安心して子どもを預けられる環境が整っています。

保育ママ制度による保育時間は、基本的には1日8時間と定められています。ただし、延長保育や休日の開所も事業者が自由に選べるため、保護者のニーズに合わせた柔軟な対応も可能です。

ベビーシッターや居宅訪問型保育との違い

ベビーシッターや居宅訪問型保育は、保育ママ制度と似ているように感じるかもしれません。実際に混同されやすい3つの保育サービスですが、それぞれに明確な違いがあります。

ベビーシッターと保育ママの違い

ベビーシッターは、雇われた人が子どもの自宅（または指定の場所）に行って保育を行うサービスです。保育ママが「保育を行う側の自宅」で子どもを預かるのに対し、ベビーシッターは「子どもの自宅」で保育を行います。

また、保育ママになるには保育士資格が必要ですが、ベビーシッターは特定の資格がなくても子どもを預かることができます。さらに、ベビーシッターは認可外保育施設に分類され、3歳未満を対象とする保育ママよりも広い年齢層の子ども（一般的には12歳くらいまで）を対象としています。

居宅訪問型保育と保育ママの違い

居宅訪問型保育もベビーシッターと同様に、保育者が子どもの自宅や指定の場所に行って保育を行うサービスです。

ベビーシッターとの大きな違いは、居宅訪問型保育が特定の条件を満たす子ども（例：集団保育が難しい障害や疾病を持つ子ども）を対象としている点です。また居宅訪問型保育事業は、保育ママ事業と同じく認可保育所として認められており、一定の条件を満たすことで補助金が支給されます。

保育ママ制度との大きな違いは、保育が行われる場所です。保育ママが自宅で保育を行うのに対し、居宅訪問型保育はベビーシッターと同じく、子どもの自宅で保育を行います。また、居宅訪問型保育では保育士1人に対し子ども1人が基本であり、保育ママよりもさらに少人数での保育が提供されます。

このように、「保育ママ」「ベビーシッター」「居宅訪問型保育」には制度や仕組みに違いがあり、それぞれの特徴を活かしたサービスの提供が大切になります。

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保育ママ制度は、共働きが主流の現代社会で子どもたちと保護者を支える大切な制度です。また、保育士資格を持つ人にとって、「自宅で働きたい」「少人数で丁寧な保育をしたい」という希望に応える働き方としても注目されています。