2017/03/01
東京YMCAのHP「私とYMCA」に、本校の専任講師であり、フィンスイミング日本代表男子キャプテンを務める
関野義秀先生のインタビューが掲載されました。
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フィンスイミング日本代表男子キャプテン / 東京YMCA社会体育・保育専門学校専任講師
関野 義秀さん
「フィンスイミング」とは、どんなスポーツですか?
足に大きなひれをつけて泳ぐスポーツです。競泳と同じようにプールでスピードを競うのですが、その速さはクロールの1.5倍以上。秒速3mを上回る水中最速競技です。スピードが速い分、水の抵抗も大きいため、手は使わずにキックだけで進みます。シュノーケルで息継ぎし、体幹を使って、まさにイルカのように泳ぎます。
私は2歳から水泳を始め、小学1年生から選手で練習し、高校2年の時にはリレーでジュニアオリンピックに出場しました。
フィンとの出会いは高校3年生のとき。競泳の練習のためにやってみたところ、コーチの勧めで日本選手権に出場。400mビーフィン(2枚フィン)で当時の日本新記録を樹立。同年には香港で開催されたアジア選手権でもアジア新記録を達成しました。
大学受験に失敗し、コーチや周囲の勧めで東京YMCA社会体育・保育専門学校に入学、水泳コーチを目指すことにしたのがきっかけです。
YMCAでは野尻キャンプでの野外実習など、幅広い体験をしましたが、中でもスポーツ科学を学んだこと、そしてたくさんの人脈が築けたことは自分の人生にとって大きな力になりました。
YMCAは日本で初めて室内プールを作り、多くの選手や指導者を育ててきたので、日本の水泳界のいたるところにYMCA出身者がいます。そのつながりや影響の大きさには、卒業してからも驚かされました。第一線で活躍している数多くの先輩を誇らしく思うと同時に、自分ももっと頑張らねばと気が引き締まります。
また授業で学んだスポーツ科学や理論は、トレーニングでも即応用できるものが多く、有意義でした。スポーツ科学をもっと勉強したいと思い、卒業後は鹿屋体育大学に編入学。大学院にも進学しました。
私が特にスポーツ科学を意識するようになった背景には、フィンスイミングというスポーツの特性もあります。
フィンスイミングは手を使わない分、肩や肩甲骨のわずかな動きや姿勢、体幹の使い方が重要になります。どの筋肉をどうやって鍛えるか、どうしたら水をうまくつかめるか、体の細かい動きを徹底的に研究しなければ上達できません。
また日本では大半のプールでフィンスイミングが禁止されているため、練習環境が限られます。コースを貸し切りで予約しないと練習できないため、限られた時間で最大限に効率のいい練習をしなければなりません。さらに日本はフィンスイミング後発国なので、練習方法も確立されておらず、講義で学んだ理論をもとに、常に自分で練習方法を考え続けてきました。
昨年私は、TBSの「炎の体育祭TV」でフィンスイミングの指導をしたのですが、オードリー春日・じゅんいちダビッドソンがマスターズ日本代表となり、話題になりました。
でも諸外国に比べると、日本での普及はまだまだです。私は体験会などを開いて普及に努めていますが、フィンスクール等の教室も少なく、受け皿が限られているのが現状です。
また、私はフィンスイミングで培った技術を水泳や他のスポーツ指導に取り入れたいと思っています。大きなフィンをつけると水を蹴る感覚がよくわかり、足首の使い方や水のとらえ方などコツをつかみやすくなります。5mくらいしか泳げない子どもでも、フィンをつければ25m泳げるようになります。長年泳いできた方でもフィンを体験すると、今まで気づかなかった体の細かな動きに気づき、レベルアップできます。
普通の水泳では、手や足を動かせば多少バランスが崩れていても進みますが、フィンは体幹の動きやバランスだけで進むのでごまかしが効きません。体のしなやかさ、肩や肩甲骨の動きなどを突き詰めてトレーニングするフィンは、他のスポーツの指導にも有効です。
以前トライアスロンの選手に、足が疲れない泳ぎ方を指導したことがありますが、水の抵抗を受けないように姿勢を作り、無駄のないキックを指導したところ、1~2回で効果が出ました。
また先日は、たまたま職場体験にきた野球をしている中学生や専門学校生に、私がいつも行っている肩甲骨のエクササイズを教えたところ、目に見えて肩の可動域がアップし、本人たちも驚いていました。
2017年1月|第13回関東オープンフィンスイミング大会25mメドレーリレー優勝
関野さんは第3泳者ビーフィン(2枚フィン)で出場
科学理論にもとづいた指導ができるよう、常に知識や技術を磨き、勉強し続ける指導者になって欲しいと願っています。日本のスポーツ界ではまだ、コーチ個人の経験だけをもとにした指導や、気合いや根性だけの練習をしていることが多々ありますが、それでは一部の選手しか育ちません。
現代では、障がい者や高齢者などさまざまな参加者や選手に対応できる指導者が求められていますから、一人ひとりの個性を見極め、その可能性や楽しみを最大限に引き出せるよう、多様な指導をできる人になってほしいです。
また私は前職で培った「努力って楽しい」というマインドを大切にしています。厳しいトレーニングも楽しいと思えば乗り越えることができますし、楽しいと思うからこそ新たな発見や向上があります。努力を楽しむ力は、どんな仕事をしていく上でも役に立つと思っています。
(聞き手・まとめ 広報室)
東京YMCAのHP「私とYMCA」に、本校の専任講師であり、フィンスイミング日本代表男子キャプテンを務める
関野義秀先生のインタビューが掲載されました。
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フィンスイミング日本代表男子キャプテン / 東京YMCA社会体育・保育専門学校専任講師
関野 義秀さん
「フィンスイミング」とは、どんなスポーツですか?
足に大きなひれをつけて泳ぐスポーツです。競泳と同じようにプールでスピードを競うのですが、その速さはクロールの1.5倍以上。秒速3mを上回る水中最速競技です。スピードが速い分、水の抵抗も大きいため、手は使わずにキックだけで進みます。シュノーケルで息継ぎし、体幹を使って、まさにイルカのように泳ぎます。
私は2歳から水泳を始め、小学1年生から選手で練習し、高校2年の時にはリレーでジュニアオリンピックに出場しました。
フィンとの出会いは高校3年生のとき。競泳の練習のためにやってみたところ、コーチの勧めで日本選手権に出場。400mビーフィン(2枚フィン)で当時の日本新記録を樹立。同年には香港で開催されたアジア選手権でもアジア新記録を達成しました。
大学受験に失敗し、コーチや周囲の勧めで東京YMCA社会体育・保育専門学校に入学、水泳コーチを目指すことにしたのがきっかけです。
YMCAでは野尻キャンプでの野外実習など、幅広い体験をしましたが、中でもスポーツ科学を学んだこと、そしてたくさんの人脈が築けたことは自分の人生にとって大きな力になりました。
YMCAは日本で初めて室内プールを作り、多くの選手や指導者を育ててきたので、日本の水泳界のいたるところにYMCA出身者がいます。そのつながりや影響の大きさには、卒業してからも驚かされました。第一線で活躍している数多くの先輩を誇らしく思うと同時に、自分ももっと頑張らねばと気が引き締まります。
また授業で学んだスポーツ科学や理論は、トレーニングでも即応用できるものが多く、有意義でした。スポーツ科学をもっと勉強したいと思い、卒業後は鹿屋体育大学に編入学。大学院にも進学しました。
私が特にスポーツ科学を意識するようになった背景には、フィンスイミングというスポーツの特性もあります。
フィンスイミングは手を使わない分、肩や肩甲骨のわずかな動きや姿勢、体幹の使い方が重要になります。どの筋肉をどうやって鍛えるか、どうしたら水をうまくつかめるか、体の細かい動きを徹底的に研究しなければ上達できません。
また日本では大半のプールでフィンスイミングが禁止されているため、練習環境が限られます。コースを貸し切りで予約しないと練習できないため、限られた時間で最大限に効率のいい練習をしなければなりません。さらに日本はフィンスイミング後発国なので、練習方法も確立されておらず、講義で学んだ理論をもとに、常に自分で練習方法を考え続けてきました。
昨年私は、TBSの「炎の体育祭TV」でフィンスイミングの指導をしたのですが、オードリー春日・じゅんいちダビッドソンがマスターズ日本代表となり、話題になりました。
でも諸外国に比べると、日本での普及はまだまだです。私は体験会などを開いて普及に努めていますが、フィンスクール等の教室も少なく、受け皿が限られているのが現状です。
また、私はフィンスイミングで培った技術を水泳や他のスポーツ指導に取り入れたいと思っています。大きなフィンをつけると水を蹴る感覚がよくわかり、足首の使い方や水のとらえ方などコツをつかみやすくなります。5mくらいしか泳げない子どもでも、フィンをつければ25m泳げるようになります。長年泳いできた方でもフィンを体験すると、今まで気づかなかった体の細かな動きに気づき、レベルアップできます。
普通の水泳では、手や足を動かせば多少バランスが崩れていても進みますが、フィンは体幹の動きやバランスだけで進むのでごまかしが効きません。体のしなやかさ、肩や肩甲骨の動きなどを突き詰めてトレーニングするフィンは、他のスポーツの指導にも有効です。
以前トライアスロンの選手に、足が疲れない泳ぎ方を指導したことがありますが、水の抵抗を受けないように姿勢を作り、無駄のないキックを指導したところ、1~2回で効果が出ました。
また先日は、たまたま職場体験にきた野球をしている中学生や専門学校生に、私がいつも行っている肩甲骨のエクササイズを教えたところ、目に見えて肩の可動域がアップし、本人たちも驚いていました。
2017年1月|第13回関東オープンフィンスイミング大会25mメドレーリレー優勝
関野さんは第3泳者ビーフィン(2枚フィン)で出場
科学理論にもとづいた指導ができるよう、常に知識や技術を磨き、勉強し続ける指導者になって欲しいと願っています。日本のスポーツ界ではまだ、コーチ個人の経験だけをもとにした指導や、気合いや根性だけの練習をしていることが多々ありますが、それでは一部の選手しか育ちません。
現代では、障がい者や高齢者などさまざまな参加者や選手に対応できる指導者が求められていますから、一人ひとりの個性を見極め、その可能性や楽しみを最大限に引き出せるよう、多様な指導をできる人になってほしいです。
また私は前職で培った「努力って楽しい」というマインドを大切にしています。厳しいトレーニングも楽しいと思えば乗り越えることができますし、楽しいと思うからこそ新たな発見や向上があります。努力を楽しむ力は、どんな仕事をしていく上でも役に立つと思っています。
(聞き手・まとめ 広報室)